小さなパン屋happyDELI 得意なことを任せる



パン屋時代のお話 今日はスタッフのこと。

武蔵境で小さなパン屋カフェお店を営業していた9年間の間に、働いてくれたスタッフは、数えて見たら二十五人もいました。皆さんにお世話になったな〜。ありがとうございました。六ヶ月くらいでやめてしまったミュージシャンくんもいたし、初期から最後まで働いてくれた方もいました。
1日に数時間ずつ三人くらいずつ働いていたので、メインでパンを焼いていてくれた人以外は、週に10時間程度の勤務時間だったと思うけど、それぞれ個性豊かで、本当にいろんな方がいました。

普段は曜日が違うとほとんど顔を合わせないスタッフも、イベントやデパートへの出展だと、ほとんど全員出勤!みたいな感じになるので、一同に顔を並べると、本当に個性豊かでした。よくお客さんに「おたくのスタッフはみんな雰囲気違う感じだけど、感じはみんないいわね〜」と言われていました。

みんな一人一人印象に残っているけど、今日は、一番個性的なYさんのこと。
もともとパン屋さんのお客さんで、happyDELIの雰囲気とかパンの味をとても気に入ってくださって、働きたいとお申し出くださいました。大きなメガネに芸術家的なオーバーオールを着て三つ編みの彼女は、その風貌通りとても個性的で、絵を描いたり工作をしたりが得意で、子供にも工作を教えていました。音楽も大好きのようで、happyDELIでかけるといいといってCDを焼いてきてくれたりしました。

そのような彼女には、お店のディスプレイとか、ポップとか、通販のパンの配送時につけるカードの作成とか、私には絶対できないことをお願いしていたのですが、計算したり事務的なことはちょっと苦手のようでした。それでも、お店の道具の配置とか、こうすればもっと動きやすくなるとか、掃除しやすくなるとか、お店のイベントのノベルティグッズとか、ハロウィンのイベントのアイディアとか、新作パンのアイディアとかたくさん提案してくれて生き生きと働いてくれていました。

しかしながら、小さいお店のこと、アーティスティックな仕事ばかりあるわけでもなく、一人で何役もこなさなければなりません。また、他の人が1時間で済むことを倍の時間かかってやってもらうわけにもいかず、自然と「これはこうすると早くできるよ」とか「こうした方が、効率的に終わるよ」などと、速さと正確性をお願いすることが多くなって行きました。早くやろうとすればするほど、また正確に計算しようとすればするほど、間違いが多くなり、それをまた私が注意するということが増えて行きました。
毎日の業務の中で、注意せざるを得ないことが増え、そんなことが繰り返されると、はじめキラキラしていた彼女は、どんどん輝きを失っていきました。

今思えば、彼女の働いてもらう時間を短くして得意なことばかりしてもらうとか、彼女がやりやすいように、いろんな表を工夫するとか、彼女がやりやすい形を自分から提案してもらうとかすればよかったのですが、未熟な私は、残念だなと思いながらも、やはり他の人と同じようなレベルで業務を行うことを彼女に要求してしまっていたのでした。

働いてくれる人が、楽しく熱意を持って働いてもらうということが、お店の活性化には、とても大事だということをだいぶ経ってから気がつきました。気持ちよく働いてもらうには、その人が得意なこと、やりがいがあること、苦手でも頑張りたい!と熱意を持っていること、このお店のために自分は何ができるかしら?とウキウキと考えるような時間を、半分目をつぶってでも信頼して任せることが大事なんだな〜と、彼女がやめてだいぶ経ってから、気がついた私でした。スタッフが熱意を持って仕事に向き合っている時には、なんというかお客さんもそれに影響されるというか、一緒にウキウキして、お店のことが大好きになってくれるような気がします。

飲食店なので、味はもちろんとても大事なのですが、生き生きと働くスタッフの雰囲気や、みんなが作ってくれたポップや看板や、お客さんが作ってくれた棚とかにとても助けられていたんだな〜と、改めて思います。